「フィギュアーツZERO」は、アクションフィギュアである「S.H.Figuarts」とは異なり、可動機構や摩擦部がありません。そのため、細部の造形や素材選択、塗装面の制約が少なく、美しい造形・彩色を徹底追求することができます。
このときキャラクターの魅力を引き出すために重要となる大元の工程、それが「原型製作」です。
今回これを手掛けたのが、ボークスさんの造形工房「造形村」です。
ガレージキットの世界で時代を築いたボークスさん。
その40年におよぶ膨大なノウハウの秘密、ルーツの一端に触れるべく、魂ネイションズが造形村の皆様にいろいろ質問をしてみました。
■ 原型製作担当、ボークス 造形村インタビュー
Q. 「美少女戦士セーラームーン」がテレビ放映開始されたのが1992年。ちょうどその年に造形村が誕生したと伺いました。その頃の造形村はどんな感じだったのでしょうか、教えてください。
A. 京都市内から少し離れた郊外・亀岡市にて、ボークスの造形部門「造形村」と製造部門「ヴァージナルアート」が、約1000坪のファクトリー工房を構えて業務を開始しました。都市部の喧騒を離れ、自然に囲まれた環境の中、のびのびと造形や商品作りに励んでいました。スタッフもまだまだ若手ばかりで、情熱と勢いを武器に、ひたすら突き進んでいた時代です。
Q. その頃はすでに東宝ゴジラやウルトラマン、仮面ライダー、デビルマンなどおなじみのキャラクターも多岐に渡って手がけられていたとお聞きします。キャラクターフィギュアを取り巻く当時の日本って、どんな感じだったんでしょうか。
A. 造形村を含め、ガレージキットの世界は怪獣やヒーロー、メカものがまだまだ主体でしたが、造形レベルの高まりによって「ヒロイン」ものが増えていった時期でした。造形村でも新旧さまざまなアニメやコミックなどから、多種多彩な美少女キャラを作ってきましたが、この時期の大きな特徴として、格闘ゲームの流行に呼応し「ゲームキャラ」の商品化が急増した事が挙げられます。「戦う美少女アニメ」であるセーラームーンは、そんな時代の流れに乗ってフィギュア方面でも盛り上がりました。当時、フィギュアはまだまだ「知る人ぞ知る趣味」でしたが、セーラームーンのような人気作を通じて、今日のように一般的なホビーになったといえるのではないでしょうか。
Q. イベント限定品として発売された「1/4 セーラーセレニティ」のお写真を拝見しました。
写真からでも、この商品の息をのむような美しさ、新たな表現を追求された造形師さんの魂が伝わってくるようです。この商品を発表された当時の反響はいかがなものだったのでしょうか。また、この商品へのこだわり、苦労談などもぜひ教えてください。
A. ファンの皆様がセレニティに抱く神聖なイメージを最大限に膨らませたリアルタッチの造形が、「それまでにない斬新な表現」と大変ご好評をいただきました。おかげ様で、今でもお褒めの声をいただく機会がございます。本作はドレスを布で再現しているのが大きな特徴ですが、「ドレスを造形の一部と考える」事によって、「広がり」や「奥行き」を表現する事ができました。当時のガレージキットファン以外の方にも、幅広い層にご興味を持っていただけたと思います。
【 ボークスさんが手がけられた セーラームーン のガレージキット 】
右: 1/4 セーラーセレニティ
当時に発売されたガレージキットの数々。ボークスさんには、当時こうした商品を担当していた方々をはじめ、何十年というベテラン造形師の方々がいまも活躍され、そのノウハウが今回のフィギュアーツZERO製作にも注ぎ込まれています。
※写真の商品はいずれも絶版となっております。メーカー様へのお問い合わせはご遠慮ください。
Q. 今回、「フィギュアーツZERO セーラームーン」の原型製作を担当していただきました。
この商品への思い、製作に携わられてみてのご感想・苦心された点、現状の仕上がりをご覧になっての感触などを伺えればと思います。
A. セーラームーン20周年という記念すべきタイミングで造形を担当させていただく事になり、今も嬉しさでいっぱいです。「セーラームーンらしさ」が伝わる躍動的なポージング、すらりとしたプロポーション、そして「大人っぽい雰囲気」を再現すべく、製作中はまさに毎日が挑戦でしたが、バンダイの企画担当者様、関係者様のこだわりが非常に強く、それが大きな助けとなりました。原型だけでなく、塗装見本もボークスで担当させていただき、パールやメタリック表現をふんだんに盛り込む事によって、原型が持つ華やかさが最大限に活かされております。商品版の開発も順調のようで、「塗装見本をも超える完成度」になる事に期待しております!
Q. 長年フィギュアの造形に携わられているプロフェッショナルの皆様ですが、日頃プライベートでは、こうしたスタチューフィギュアをどのように楽しんでいらっしゃいますでしょうか。
当商品で初めてスタチューフィギュアを購入されるというお客様に「フィギュアーツZERO セーラームーン」を堪能していただくためにも、ひとつアドバイスをお願いします。
A. フィギュアは箱から出して、好きな場所に飾って楽しみましょう! ‥‥と、当たり前の回答で恐縮ですが、おそらく「置き場がない」等の切実な理由で、せっかく買ったフィギュアが未開封のまま、という方はきっと多いと思います。
スタチューフィギュアは「私の好きなキャラが、大きなサイズでいつもそこにいる!」という「存在感、満足感」こそが最大の魅力です。お部屋でも、玄関でも、職場のデスクでも(会社的にOKなら、ですが‥‥)お好きな場所に飾りましょう。ふと目に映った瞬間、「幸せ」を感じる事ができるはずです。もちろん、心に余裕がある時は、いろいろな角度からじっくり眺めて癒されてください!
Q. ボークスさんは40周年を迎えられるということで、おめでとうございます。12月22日には東京ビッグサイトで、40周年記念イベントを開催される予定がおありとのことですが、一体どのようなイベントになるのでしょうか。
A. 「ジョイントフェスティバル」という名称で、ボークスが展開する4大ホビージャンル(ドール、キャラクターホビー、スケールモデル、鉄道模型)がひとつに繋がる40周年記念特大イベントを開催いたします。単に「見るだけ、商品を購入するだけ」では終わらず、キット制作教室や模型コンテスト、チャリティー企画など「お客様参加」の要素がたっぷりです。さらに「ボークス40thメモリアルミュージアム」と題し、懐かしいアイテムの完成品や当時の会報誌、雑誌広告などを集めた特別展示コーナーも設けます。皆様、是非遊びに来てください!!
Q. さて「フィギュアーツZERO セーラームーン」は11月20日より一般店頭でのご予約解禁となります。ご予約を検討されている方へのメッセージなどありましたら是非お願いたします。
A. セーラームーンファンの皆様が喜ばれる顔を胸に浮かべながら、全身全霊をかけて造形いたしました。本作にご期待されているお客様は、普段から美少女フィギュアに親しんでいらっしゃるヘビーユーザーもいらっしゃれば、「今までこういう物を買った事はないけれど、大好きなセーラームーンだから欲しい…」と思っていらっしゃる女性の方も多い事と思います。あらゆるファンにとって記念すべき一品となっておりますので、実際にお手に取っていただき、ずっと大切にしていただける事を願っております。
── いろいろ教えていただき、ありがとうございました。(2013年11月・造形村にて)
2014年4月下旬発売! フィギュアーツZERO セーラームーン
11月20日(水)、家電量販店・ホビーショップ・ネットショップなどの一般店頭にて予約解禁です!
※店舗様により異なる場合がございますので、実施状況は直接お訊ねください。